初期衝動のような、
朽木 裕

都合のいい言葉ばかりが自分の耳には残るんだ
私は好きでいてもらえてるって
生きていてもいいんだって勘違いして

人を嫌うことにエネルギーを費やすことが嫌で
出会う人みんな大好きで
嫌いだった人もいい面を知ればすぐに大丈夫になる
そうしなくてはと思い込みが働いている面も確かにあるのかも知れない

すべては自分が生きやすい世界のため

優しい?−−−自己中心的なだけだよ
話しやすい?−−−うわべだけなんじゃないのかな

そういう評価を得ることで私は何がしたいの?
嫌いだった人からも好かれてそれでどうしたいの?
距離感置けなくなって困るのは自分なんじゃないの?

それでも

それでも私は好きでいてもらいたいんだ
誰にも誰からも嫌われたくないんだ

臆病に狡猾に

駄目な人間だな
悪い女だな

誰にも嫌われることなく 生きて、いたいんだ

生きて、いたいんだ

それは初期衝動のような、哀しい私の生き様


自由詩 初期衝動のような、 Copyright 朽木 裕 2010-06-17 23:48:26
notebook Home 戻る