触れる
鵜飼千代子

             触れる
             あなたと手が触れる
             コレクションを手渡した
             ほんの 一瞬
             
             なんの感慨もなく
             過剰な意識もなく
             自分の肩に触れるように
             ナチュラルに
             
             触れる
             伊達男と手が触れる
             福を巡って伸ばした手が
             ほんの 一瞬             
             
             なんの感慨もなく
             過剰な意識もなく
             買い物籠にぶつかった
             煩わしさで
             
             大切にしているものと
             どうしても欲しいものと
             間に物を挟んで同じように
             手が触れたとしても
             思いは
             違うものを表示するのだろう
             
             あなたの右手の平に
             わたしの左手の平を
             合わせ
             
             あなたの左手の甲を
             わたしの右手の平で
             そっと包んで              / クルンデ
             左の乳房に
             押し当てる

             放電が
             止まる
             
             
             
        1998.12.04.   YIB01036  Tamami Moegi.
        初出 NIFTY SERVE FPOEM


自由詩 触れる Copyright 鵜飼千代子 2010-06-17 01:36:27
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