ぼくらの夢
草野大悟

ぼくらの夢は いま 夢みることができない
あり地獄に飲み込まれたように

翼をいっぱいに広げ
なんどもなんども抱き合ってきたのに

ぼくらの夢は いま 
流砂に飲み込まれたように
夢みることができない



飲み込まれたぼくらの夢は
漆黒の穴の中から
血まみれの臍の緒をつけて
真っ赤に生まれてくるだろう
それでも
ぼくらの夢は
夢みることができない
ただ
ふたりが
ひとつであるという真実を除いては



あゝ
愛おしい人よ
ぼくを兄とよび
反発し、挑み、甘えた向日葵の人よ
神は、何故、あなたに
このような酷い仕打ちをつづけるのか
悪という概念すら知らない光に
生まれたままの純粋に



ぼくらの夢は いつも
空を見ている
ふたりで眺めたあの山の上の

ぼくらの夢は いつも
風を見ている
ふたりで泳ぐあの風を

そして
ぼくらの夢は今日
月に舞いあがり
花と雪と雲と
たくさんの愛を降らす



自由詩 ぼくらの夢 Copyright 草野大悟 2010-06-17 00:11:47
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