生きるカタチ
山岸美香

受けた悪意を憎しみで返してはフモウだ、と
そう言われても、この手は随分前から汚れていたんだよ。

笑われたら怒って
陰湿なことにはそれを返すし、
周りのみんなと
同じように汚れていたんだよ。

大きな力に頼ってでしか物事を解決できないなら
きみはロクな大人にはならない
漫画にそう書いてあった。

冷蔵庫を開けてグラスにお茶を注いで
TVに出る爽やかそうなスポーツマンを見て
こんな風景とは無縁なのかなと思う。
でも多分結局はひとそれぞれの壁や
そこから伸びた影があるのかも、ね
誰も最初から流れるように生きれやしないから

君が僕の腹をつねろうとする
つねるのは刺されるより地味だけど
不健康な色と不快さを残す。
だから君の手にしっかりと釘刺しておいてよかった。
自分の思い通りに行かないと傷ついて怒るから
当たられる前に姿を消すこと。

いつも
一人の場所に逃げていた
古傷が痛んで血が流れていた。
夏場は暑いからひっかいてしまったんだろうか
傷口が熱くてひりひりと痛かった。

こうじゃないと
生きられないから


自由詩 生きるカタチ Copyright 山岸美香 2010-06-14 00:43:39
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