言葉
izumi
どれだけ考えても
どれだけ思い出そうとしても
今
必要な言葉が
口から音となって
意味を成した
文章で
出てくることは
ない。
私は
失った。言葉。
そして
それらを
つなぎ
合わせる
接着剤
も。
頭や胸のあたりでつなぎそこねたひらがなたちが可哀想に
漂っている。
言葉に
なる
日を
願って。
ごめんなさい。
言葉
たち。
私にはその力が今はないのです。「あー」と言ったところで私は怖さで震えあがって
しまうのです。
どうか
私を
許して。
言葉は
私のもとから
消えて
いった。
悲しいけれど
安心した。
私を知るのは私しかいない。
私がしたこと、されたこと、私のほかに誰も知らない。
別に
辛い
思い出を
大切にしているのではない。決して。
言葉といると思い出が言葉に置き換えられて私の身体から紡ぎだされるの。
苦しいの。
辛いの。
今は
待って。
その
時が来る
まで。
思い出が
薄らいでいく
その
日
まで。
10.2.21