炭酸水と夏の気配
クローバー
シュリルシュリルリシュリルリリ
僕らというこの現象は
溶けきれずにはみ出した
二酸化炭素の泡沫です
着色された青色の
歪められた電灯です
落ちることの許されない
小さき声の記号です
甘味料に騙されながら
重ね合わせる内側の
想いを呼べない液体です
シュリルシュリルリシュリルリリ
蒼天にはさくらんぼ
夜の太陽が僕らを隠す
悲しい顔して輝いている
ああ、なんと言うことだろう
絹のようになめらかな
気温が無言で上がっていく
下から上へゆっくりと
泡だった本能のまま
逆らえない夢のまま
シュリルシュリルリシュリルリリ
飛沫になって消えていく
優しい新たな星星が
パウダー状の恒星たちが
河の流れになっていきます
その様子をバニラの上で
青の地球の狭間の上で
僕らというこの現象は
膝を抱えて見送っている。
シュリルシュリルリシュリルリリ
涙のような泡沫の
忘れることの儚さで
シュリルシュリルリシュリルリリ
溶けていれない悲しみが
きょうも空へとのぼっていきます。