有明
あぐり
いちまいの毛布から抜け出した朝は
月が赤い雲に照らされていた
宛はないのだけれど
ただただ澱む空気から
わたしをひとりにする風を感じたくて歩いた
夜明けの部屋ではひとり
きみが眠っている
裸眼では滲む世界が
もしもきみとおんなじに見られたら何が叶うの?
あのマンションの廊下を照らし出すいくつもの水銀灯が
きみにはどんな呼吸に見えたらただしいんだろ。
するどく冴え渡る霞の中
前から誰かが歩いてきたなら
肯定的に殺されたっていいよ
ナイフ、
持ってないなら
グッド・モーニング
わたしたちがわかりあえたら何が叶うの?
十数分間の不在は
なにもきみを欠けさせはしないようです
冷たいからだを毛布に滑り込ませて
グッド・ナイト
目が醒めたらそこには
わたしがちゃんと眠っている
そんなただしい朝がある