我の大河
朧月
なにもない場所で生まれる言葉は
なにもないと思える私の中の歴史
かじっただけのアイスみたいな安価な
浅い浅い川の底にある小石みたいな
それでも私には捨てられない石
生まれたときからもってなかった
生まれたときからもっていたこと
ぜえんぶ捨てたいときもあったし
ぜえんぶとられたくないときもあった
今
なにもない場所にいるように思う
なにももってない私であると思う
そうでないなんて言われなくていい
さらら さらら 流れる川
私の
きっしりつまっていた小石の数に
うっとりするよな感情を
なにもない場所だからこそ噛みしめた
なにももってなかったからこそぼんやり見つめた