いったりきたり
nonya
ゼラチンで固めたはずの
歯ごたえのない決意は
なまくらな陽射しに
もう溶けかけている
サイドブレーキをかけたはずの
座りの悪い忍耐は
他愛ない傾斜に
もう転がり出している
七三で決めたはずの
ひょろ長いだけの覚悟は
頼りないそよ風に
もう揺らいでいる
名刺の片隅に刷り込んだはずの
見栄えの良い責任感は
あまりに軽すぎて
もう背負っていることさえ忘れている
自分のあるべき姿と
自分のあらぬ姿の間で
いったりきたりする
あてどない心を
当たり前のように手なずけて
軽々と飼い馴らして
皮下脂肪の下に折りたたむのが
たぶん大人の務めなのだろう