「恋と詩と」
ベンジャミン
そこにあるものは
あまりに透明だったので
気づくことさえ難しかったのです
たとえば自然を書くことは簡単で
木や空や海を書けば良いのですが
それらをつなぐものを書くのは
たいへん難しいことなのです
たとえば人を書くことは簡単で
表情や仕草や見たままを書けば良いのですが
それらをつなぐものを書くのは
たいへん難しいことなのです
けれどたしかに
そこには言葉があって
言葉があるなら意味もあるのでしょうが
大切なのはそういうことではなくて
たとえばそれは
とても透明ですから
本当はたとえようもないのかもしれません
自然ならば情景とも言えますし
人ならば感情ということになります
えっと
それとですね
そういうふうにまぁ
ずいぶんと曲がりくねった言い方になりましたが
それがその
何て言うか
とてもとても透明な
強いて言葉であらわすなら
好きという感情でもあるのです