さみしさの種
朧月

さみしい人は敏感だ
さみしい人は
さみしいということに一生懸命

あまりに一生懸命にさみしがるから
周りにいる人は触れられなくなってしまう

さみしがる人が
さみしいということにひたむきすぎて
自分の出る幕などないように思ってしまう

さみしい気持ちが沸き起こってきたら
少しだけさみしがろう
そしてその気持ちを抱えながら
だれかの胸にもぐりこませてもらおう

まるで猫のように
まるで赤ん坊のように

さみしい気持ちはぬくもりに弱い
敏感肌も
なにも言わぬ なにも知らぬ
まだ 知らない人のぬくもりに負けて
ほどけてとけるだろう

それでもきっと
くすぶるさみしさは残るだろう
さみしさの種はきっと残るだろう

背骨のように
自分の真ん中を通っているだろう
それを知っている
それに気付いている
だからさみしがる

さみしがることは生きること
持たなかった 持ってしまった
この世に記憶が出来た頃からの
もどかしいさみしさは
見えない命の種だ



自由詩 さみしさの種 Copyright 朧月 2010-06-09 13:53:22
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