かもしれない
よーかん

鏡は嘘をつくようだ

お風呂に洗面所があったから
引っ越す前だ

団地の頃だから
たぶん小2とかそのくらいの頃

「なんでボクはボクの中にいて
 アイツはアイツの中なんだろう」

「なんでボクはボクの体で
 アイツはアイツの体なんだろう」

鏡の中の見つめ返しているボクを
他人を眺めるようにして

繰り返して繰り返し
毎日繰り返した時期があった

もしかしたら
ここは漫画の中で
そこら中にある鏡がコマで

ボクやアイツは
それと他の人間も
漫画の中にいるのかも

手塚治虫先生みたいなヒトの
作った漫画で

鏡みたいな四角い
コマの中で
動いてるだけなのに知らないだけで

それでボクはアイツと違うの
かもしれない

いつの間にか
ボクじゃなく

鏡の中のボクの頭で
ボクはそんな風に

ここじゃなくて
どこかにいる

他の自分に
心の中を覗き込まれ

その声に操られ

あの毎日から

ただのあるがままを忘れ

視線を気にしてばかりいる
一人のコドモに変わってしまった

そうなのかもしれない

鏡の中の二次元の自分に

お前はこうだ
だからああだと

どこに行っても指摘され続けて

クタクタになっている
オトナへと

成長し始めたのかもしれない
あの毎日から

鏡の嘘にだまされたの
かもしれない

あれは
そういう時期だったのかもしれない










自由詩 かもしれない Copyright よーかん 2010-06-09 07:34:31
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