誕生日
森の猫

あと10日で
あたしの生まれた日が
来る

もう
嬉しくもない年だが

1年に一度
この日は
母に 感謝の電話を入れる日に
している

なぜなら
遠いこの日
あたしは産まれるまで
その存在は
わからなかった

二卵性の双子の兄が産まれた後
後産だと
お産婆さんに嘘をつかれて
産まれたのが
あたしだ

自宅出産の時代
お産婆さんは
双子の見分けが
つかなかったのだ

だから
産んでくれて
ありがとう と
コトバで伝えるのが
ここ数年の常である

でも
今年は

耳も遠くなった
母に電話を入れられるか

母は兄と住み始め
忙しく
兄に一生懸命だ

あたしは
キミへの気持ちで
混乱している

母に恨みごとを言って
しまいそうな気がする

漢字の”八”は
開く とも
読むという

あたしの人生

この1年
開かれて
いくのだろうか

否か


自由詩 誕生日 Copyright 森の猫 2010-06-08 18:29:41
notebook Home