底なしの夜
水島芳野



ここは迷いの森で
進んでいるのか
遠のいているのか
それさえもわからないような
途方もない夜に包まれているんだ

君とつないでいた手なんて
簡単にほどけた。

それでも行くしかないんだろ
両の手に余るほどの問題を抱えて
泣きじゃくりながら
それでもあなたは、「行け」としか言ってくれない

僕のちっぽけな体に収まりきらない祈りは
捨てることすらかなわぬまま
ぶくぶく膨らんで、破裂しそうだ

見上げた星つぶは突き刺すようで

守りたいのに、守れずにいるから
こんなにもこの涙が
あたたかい。


携帯写真+詩 底なしの夜 Copyright 水島芳野 2010-06-08 11:05:01
notebook Home