どうかね 君は
瀬崎 虎彦

うたを歌わなくなって陰影がわからなくなる
道端にすべて宇宙の残骸がおちているような
夕暮れまで秒読みを開始してアルミの屋根を
じっと眺めていた小国民少年少女一様に空へ

沈黙はもうだれもみない 愛さない ならば
ひかがみにとどまる慙愧の念を 打ち 捨て
窓の並びとははすかいの 寂しい 私の寓居
にヴィネガロンのように 凶悪な 幻を燈せ

クルルーンと飛行船を持ち上げるヘリウムの
軽さをみならって 口先ばかりで行動のない
気楽な人生も悪くないのだろう それでもだ

それでも やはり地に立ち重さを思いながら
ひとつひとつ仕事をこなしていく君の生き様
悪くはないと思うのだがね どうかね 君は


自由詩 どうかね 君は Copyright 瀬崎 虎彦 2010-06-08 08:36:16
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