多摩蘭坂のひと
恋月 ぴの

降り止まぬ雨はないっていうけど
それで地固まったのかな?

多摩蘭坂から見上げる雨上がりの夜空は
満天の星降るって感じには程遠くて

やっぱ悔しいけどそれが現実なんだよね

それでも、いなくなったと思ってた
あの野良猫はいつもの場所でいつも通りに毛づくろい

ワンボックスカーの屋根には彼なりの足跡ちゃっかり残してた

キョーシローにはじめて出逢ったのは
RCサクセションの野外コンサートだったような
彼の反体制「ぶってる」ところが好きだった
ちょっと嘘っぽくて
そんなポーズの裏側はガチでマジだったのかも知れないけど

コンサートの興奮冷めやらぬ深夜の児童公園でチャボにちょい似の彼に迫られ
軽いキスだけならと許したはずなのに
鼻息荒く舌差し込まれ胸まで揉みしだかれてしまったほろ苦い思い出
あんときもこんな感じの夜空だったよね

ビンビンだぜぇとトランジスタ・ラジオで煽られたとしても
今となってはそんな元気あるわけないし
多摩蘭坂にはファンの供えた花束が時おりヘッドライトに浮かぶ

降り止まぬ雨はないっていうけど
雨後は必ずしも晴れ上がると限らないのが人生なんだから

愛し合ってるかぁい

やっぱ素直でKawaiiがいちばん♪




自由詩 多摩蘭坂のひと Copyright 恋月 ぴの 2010-06-07 20:08:28
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