駅前再開発
……とある蛙

駅前に丈高く伸びた
雑草の海
風にそよぐ波の向こうに
マンションが一棟
真新しいコンクリートの
白っぽい剥き出しのグレー
に風がそよぐ

ポークパイハットを被ったような雲の
ぽっかりと浮かんだ
青い海のさきに
苦虫を噛み潰した顔をした人魚の泳ぐ
蒼い空がある。

儲けの夢をつぶしていった
不思議な噂話が風の中に交じって空を駆け巡る
風の中に自分がいる。
今ここにいる実感が無いため、
怪しげな交信をしている詐欺師達に
初夏の風を感じることができるのだろうか

感じることができるのは、
降りそうな梅雨の曇り空
廃墟になりかけた
意外と脆いコンクリートの塊



自由詩 駅前再開発 Copyright ……とある蛙 2010-06-07 10:23:33
notebook Home