六月のBGMはレット・イット・ビー
吉田ぐんじょう
缶切りで鯖味噌缶を開封し背中まるめてわぶわぶ食べる
薄荷飴ひとりで舐めてさびしがる君のことなど想ってみつつ
朝刊の明朝体が目に刺さる夜明けどこかで鳥が鳴いてる
晴れた日の午睡が好きだ悪いことしてるみたいで欲情しちゃう
脈はかるこんなに空が青いから生きてることを忘れそうだよ
ぽったりと路傍に咲いたあじさいは女の乳房のかたちをしてて
夕暮れを少し盗んでポケットに入れてそのまま失踪しようか
広告の裏に自画像かいてみるなんだかひどく歪んで見える
街の灯が咲くころ夜が遠くから押し寄せてきます海のようです