六月のBGMはレット・イット・ビー
吉田ぐんじょう


缶切りで鯖味噌缶を開封し背中まるめてわぶわぶ食べる

薄荷飴ひとりで舐めてさびしがる君のことなど想ってみつつ

朝刊の明朝体が目に刺さる夜明けどこかで鳥が鳴いてる

晴れた日の午睡が好きだ悪いことしてるみたいで欲情しちゃう

脈はかるこんなに空が青いから生きてることを忘れそうだよ

ぽったりと路傍に咲いたあじさいは女の乳房のかたちをしてて

夕暮れを少し盗んでポケットに入れてそのまま失踪しようか

広告の裏に自画像かいてみるなんだかひどく歪んで見える

街の灯が咲くころ夜が遠くから押し寄せてきます海のようです



短歌 六月のBGMはレット・イット・ビー Copyright 吉田ぐんじょう 2010-06-04 17:18:13
notebook Home