墓標
こしごえ

明日は無いと
知っていれば
生まれることも 無かった
ふりかえり、ふりかえり
遠のいてゆく
ふりしきる黒雨に。
ぬれながら

雲は
あつく
おもい出をはらみ
底も無く
どんより たれこめている
みあげれば
あしもとをながれ
うかんでいると
しる
いつまでも
終える
ことが出来
ない
宙はくだる

影に手わたされた重さ
その宿主とはちがい
しめった感触にひやり
遠い昨日がぞくり
道すじは青ざめて
眩暈を起こす
わたしは初めて
ここをあるいている
影がのびる

わたしもいずれ
晴れる
それから
産声を発する
濃くなるにつれ
果てしなく影になった
あれが墓標










自由詩 墓標 Copyright こしごえ 2010-06-01 15:19:39
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