からふねや で聞いた話
山田せばすちゃん

遊んでるうちにね
終電がなくなっちゃったのよ
だからアパートに泊めてあげたの
夏休みで郷里に帰る間際だったのね、それで
部屋の中に下着干したままで

「まずいなー、こうゆうの。そんな気ないからさぁ余計に照れるよね」
「ご免ねぇ、すぐ片付けちゃうからさ」

ふたりとも少しお酒飲んでて
だからベッドのよこに御布団と毛布敷いてあげておやすみって言って
寝たの
明け方近くだったかな
あたしぐっすり眠りこんでて
急に
揺り起こされたのよ

「ねえ、」
「ねえ、」
「…なあに?」
「しようよぉ…」
「なぁんでぇ?なんでそう言うこというの?」
「だってさ」
「やあよ」
「ええー?」
「やだ」
「だっておかしいよー男と女が一つの部屋にいてさ…」

…黙ってたらどんどんどんどん勝手にそうされていってしまう
暗黙の…誤解?
そう暗黙の誤解でおとことおんなはそうならなきゃいけないみたいに…
誰が決めたのよ?
冗談じゃないわよぉ
干してある下着見て照れてたくせにさ
明け方にいきなりおおいかぶさってくるのは照れないでできる訳?
酔いなんかすっかり醒めてるくせに
あたしぐっすり眠ってたのよ
ねぇ、ねぇそんなのってある?

あたし頭に来てる
あの男にも
あんな男だって見抜けなかったあたしにも
そんなもんだっていう世の中にも
へえって顔して聞いている目の前のあんたにも
頭に来て頭に来て
でも本当はあんたにも誰にもどうしようもないことだって
わかってて
あたしこうやって頭に来ながら
世の中と摩擦起こしてすりへってすりへって
きっとなくなっちゃうのよね
あたしが
あんたは笑って見てればいいのよ
あたしのことだって
あんたにはわかんない事だと思うし
あんたがおんなのこだったらどんなによかったか
でもいいのそうやって見てて
あたしあんたに助けてなんて言わない
あたしがすりへってなくなっちゃうまで
あんたはそうやって見てて

…友達でしょ?


自由詩 からふねや で聞いた話 Copyright 山田せばすちゃん 2010-06-01 01:00:06縦
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