重複をさけて(コンテストで以前一位をとった男が)
真島正人

コンテストで
以前一位をとった男が
仮にタロウとする
その男が
手のひらから
血を流している
重複を避けて
ようやくたどり着いた
住処で
手のひらから血を流し
そして目から涙は
流さない
その血は、
現実的な血なのかい、と
問いかけると
寂しそうに笑い
首を緩やかに振る
血について
その流れる血について
お互いの知見は
ちぐはぐに
位相を変え
定位置に定まることを
良しとしない

おぃ、タロウ
君の手のひらが
子供の頃のように
真綿のように光り輝くとき

そのときに俺は君の
手のひらを握り
その暖かさに驚くだろう

しょぼくれた
5月20日の偶然の雨の日
波は高鳴り
防波堤を打ちつけ

小汚い部屋を洗った


自由詩 重複をさけて(コンテストで以前一位をとった男が) Copyright 真島正人 2010-05-31 23:32:18
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