魚になる季節
yo-yo

魚になろうって
きみが言ったから
ふたりは裸になって
思いっきり水になって
魚になった

重たい水をおし開く
揺れているきみの顔が
泡つぶだらけで
ひげのある恐い魚にみえた

魚になったきみは
わたしの足をつかんだまま
なかなか離してくれない
わたしは水を飲んで死にそうで
いくども息がつまった

弱った魚になって
ふたりは岸にあがり風を吸った
きみのおちんちんは小さくてまっすぐ
わたしは固くなった乳首がくすぐったい
きみはオスでわたしはメス
魚のようなひらめきをした

膨らみかけたわたしの胸をみて
きみはとまどう
その時からきみは
魚になろうなんて言わなくなり
わたしはたぶん
きみよりも強くなった

弱虫のきみは川をすてた
わたしは今でも
川のそばで暮らしている

あれからいちどだけ
わたしは魚になった
わたしのまわりのすべて
草のいろも花のいろも失われ
苦しくて苦しくて
わたしの小さな魚たちが
あぶくになって空へとのぼった





自由詩 魚になる季節 Copyright yo-yo 2010-05-30 08:18:54
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