京都慕歌
Rin.
北山通の並木かなしむ夕暮れの色はほんのり青さをもって
少年が息をひそめていたわけは蛍でしょうか哲学のみち
宇治川を背に立つ君の少しだけ歴史を知っていることが好き
そのむかしシロツメグサを摘んでいたインクラインに散った雨粒
清水に来れば誰かがきっと言う飛び降りることなんてできない
鞍馬口駅構内には泣き顔をすなおに映す鏡があった
同志社の朱い煉瓦は父の背を追う子の靴の色に似ている
丸善が消えたことすらどうだってよくなる土曜の空がまぶしい
「ごめん、わたし、こういう世界に生きてるの」微笑む君がいた百万遍
なでしこよまわることなきかざぐるま遥かなものはおまえとおもう