反射
手を翳す
六月の太陽に腕が焼けていく
街並みを平らに
人指しゆびでなぞった跡を
わたしたちは
歩きはじめる
昨日、降った雨は
今日を濡らして
溢れかえる
水溜りの中のあなたが
弾けて ゆれた
走り去る
白いワゴン車
その後姿を追うように
解れていく
六月のわたしたち
散光
斑模様の
空の向こうに
いつかわたし
行ってみたい
散っていく
若草の芽が
風と分かれて
そこここで
花を咲かせていた
野へ
歩いていく足裏の
温かさはどこか
懐かしい
反射 していく
パステルカラーの季節の色には
つい目を、細めてしまう
隣で
あなたがちいさく笑った
だからわたしも
笑ってみた
静止
手を繋いだ
はじめての言葉で
わたしたちはまだ
無垢でいられた
陽が赤く 赤く
なれば今日も
落ちていく
群青色の
空の表皮
鉄塔の骨組みに
散らされた
光が細く
影絵の街に
広がっていく
わたしと
あなた
振り返れば
失くした言葉に
共に一瞬を
見つめていた
遠い、向こう側
膨れ上がった太陽が
名を変えて
山の後ろで
静止している