I'ts too late
ヤオハチ

シャムのことが好きです
お前には言葉が分からないから 好きだと言った
正直なところはサボってたんだ
照れていたのではないよ

片方の耳が取れてしまって 運命が似合わない
もう片方の耳で空間をイメージした シャム
そこからはもう動けない
変わらないものまでぜんぶ噛み砕いて
覚悟の話をしていた

右目を閉じて左目を閉じて両方になる前の
まばたき一つの希望に水刺しては
海が遠い 海が遠いっていうんだから

うっすら目を開くと見える
海みたいな
丸いものが好きです 一部しか見えないのに
時々ぜんぶが見えたような気がする

両目を閉じたら消えてしまうと思った
 
でも
シャムのことはうまく思い出せる
思い出せることは ぜんぶ書き換えていた

その仕事は担当したから
シャムのことを知っているよ 以前よりもうまく言える
言えることは限られている
限られた範囲ではなんにも許せない

とても苦しいと
叫ぼうとして呑みこんだ
ただ シャムのことを知っていて

正確な物だけ熱くって シャムは絶対に溶かせない
あたしは何も要らないと言ったのに
シャムのことが割と好き

ずっと以前より大きく
シャムのことを覚えている
もうそんなのシャムじゃねえよって
 
そうですね
ぜんぶ残らず書き換えた

担当者は他にも居ました
でも あたしほど執拗に
運命にこだわるわけもなく
シャムは今でも足がない 使わないから盗られたし
使わないから それでいい

海が遠いと言ったから青色の家を建てた

うっすら目を開くと見える
夢みたいな物が好きです

頭で組み立てた瞬間に
シャムが遠くなって

前よりも遠くなったのに
青色の家があった


自由詩 I'ts too late Copyright ヤオハチ 2010-05-27 19:13:40
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