小暗い森
吉岡ペペロ
森に潜む全体は僕を包んで忙しく腐っていった
肉と霊の総和が世界なのだと全体は言った
霊とは見えないものだから名前をもつ肉しか目のまえにはなかった
それがいくら哀しいこととて文字が喚起する以上のことは与えてはもらえなかった
森に迷い込んでみたところで永遠に全体とは邂逅出来そうもなかった
白い乳房を握りしめ乳首を充血させても僕の性的緊張はそれに乗り切れてはいない
肉と霊の総和が胸の痛みをひりだしていた
問いは繰り返されて組み合わされて細分化されて途方もない分析を要求した
森に潜む全体は僕を不器用だと見抜き去っていった