おんな
ベルヤ





仲間に金髪のアイルランドから来た奴が居るんだ
おもしろいくらい若い女の子達が携帯もって群がって来るのさ
昔は無口な奴だったけど今はいつの間にか知らない女の子と消えていく
教授も居れば、プロも居る、僕も居る
アメリカへ留学して帰って来た院を卒業した奴は
金髪の奴よりイケメンだけど背が普通
良い奴なんだぜ

僕も引いてしまうけれど
アメリカ帰りのイケメンも引くんだよなあ
奴は言うのさ
日本の女は軽くて恐いって さ
ほいほい付いていきやがるのは日本の女ばかりだったと
僕は痩せて色が白くて背が高い
でも女から来られるとやさぐれた臭みに
あんた女だろってうんざりするのは
僕に問題ありなのか
観たくもない足やら腕やら
すすけて乾き数日前の賞味期限の切れた食品のようだ

電車は最悪さ
おもしれえもんで
俺ら無意識に露出の女達に背中を向けてるんだ
観たくもねえ勘弁してくれよって感じ
アイルランドの金髪やろうには
平たんな顔のまつげだらけのこっちの女の子が新鮮なんだろうな
文化も違えば幸せも増えるってことか

日曜の集まりは3次会まで行って盛り上がった
ありとあらゆる酒を飲み比べて酔っぱらって終電
僕の足の上にわざと乗ってひっついて来るいつもの女
酔っぱらえばいつもそうなるのは儚いぜ
僕の足は重い体重のお陰でしびれてその場から逃れられないのさ
トイレ行きてえからってしょっぱなから言い続けても
足の上の物体は知らぬ存ぜぬあげくの果ては握手と称して握りやがる
その両手を放してくれないか
僕は、互いに立ち上がって向き合ったその女に
すっかり酔いが醒めて来てしまったよと笑ってみた
足は痛いほどしびれていたけど
楽しくない飲み会ほど損した気分はないから
次の店へ行ったんだ

飲んでも酔わなくなるのはいつものことで
美味しかったはずの酒も最後は味気なく色褪せてた
儚い女は内面に美学を充実させろ
たくさん語り合いたい仲間が集まっていたんだ
両手で胸に花束だきしめてエスカレーターで振り返ってくれた無口の君
もったいないぜ時間は戻らない
君はいつも楚々と静かに微笑んで隅っこに坐っているね

僕の気分は
はあほうと真顔で電車に乗り
一応反対方向の電車の窓の仲間達へ手を振ってあげた
重力女はいつのまにか何処かへ消えていた
お化けかよ



汗だくの身体独りシャワー浴び
流れるみずはなめらかで心地いい
花束はキラキラ眩しくそれだけが脳裏に残り
君は眠りに就かせてくれた







自由詩 おんな Copyright ベルヤ 2010-05-25 22:36:36
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