五月二十四日
あ。

身体とこころが、一番遠い日


時計はひとつだけではない
空腹を知らせてくれるのも
まぶたに重みを加えるのも
呼吸を始めるのも終えるのも
全部がばらばらに針を向けていて
アラームはそれぞれ違う音で
各々の役割を淡々と果たしている


きっと、奥のほうにあるのだと思う
一年に一度、この日だけ
名前を変えることが出来る
変えなければならなくなる


塗り替えられた名前はまだ新しくて
なでてみれば温度を持っていそうで
どこかふわふわと浮き足立っていて
じきに馴染んでいくのだろうけれど
今はまだ、少し離れた出来事のようで


かぞえはじめた数字は減らない
時計は終わるときまで終わらない
忘れたように放り投げられた奥のほうで
いつの間にか当たり前になった頃
また、新たに刻むときがくる


そのときまで、今は
新しい数字を、よろしく


自由詩 五月二十四日 Copyright あ。 2010-05-24 20:06:58
notebook Home 戻る