砂
乱太郎
わたしは
あなたの音楽でいたい
あなたのくちびるがそっと開いて
嬉しそうに口ずさむ
空に向かって呼ぶように
わたしは
あなたの水でいたい
奇跡の泉にはなれないが
乾いた心を潤したい
清んだ水のままで
わたしは
あなたの詩でありたい
嘘のない言葉で
悲しませない言葉で
あなたが楽しそうに頁をめくるように
わたしは海辺の白い砂
肉体を持たない
ただの一握り
あなたはこれから
あの広い海に出て遥かな地平線へ泳ぐだろう
もし
荒波に揉まれて
戻されしまった時には
あなたを
月明かりの下そっと抱き温める
砂のままだとしても