気だるげに無垢
空白さん
ゆるやかに 見下ろした 深い夜の森は
慣れないおれには 凝った 闇の塊に見えた
あなたの 示す先から 遠く届く
波の 弾ける音で 崖の存在を 測る
ゆるい風にさえ 途切れる それは
少なくとも 森を越えて まだ 向こうか
届きもしない 場所の 話だけを 繰り返す
あなたの 幼い瞳は 揺れて まどろみながら
達者でもない 言葉づかいが
妙味を 持って おれを 触発して
あの 闇の向こうを 想わせる
倦怠した あなたの 無垢が
ここから 連れ去って 欲しいなど と
おれの 背中を くすぐるから いけない
いけないんだ