「愛鷹山(ashitaka)」より [五行歌作品]
ま のすけ

 耳を
 澄ませば
 夏草の受け止める
 雨音
 さふぁり


 金魚のひれ
 ひらひらと
 漂い
 脱俗を
 せまる


 食うのみに生きたが
 戦後と
 あなたは言う
 すり減りながら
 生きる我らに


 眼の白い犬よ
 人の為す
 あれやこれやを
 見続けることに
 もうんだというのか


 睡蓮の
 花落ちた水陰へ
 わたしの胸びれが
 立てた波紋
 そっとひとつ


 未来とは
 おのが羽を
 信じること
 そしてまず
 羽搏いてみること


 虫の音に
 目を閉じる
 銀河は
 地上にも
 そっとある


 冬椿
 落ちるを詫び
 まだ残れるを
 詫びて
 くれなゐ


 三月の
 氷雨
 首を埋めて
 深く
 鴨の眠る


  2007.05〜 (静岡東部五行歌会参加作品)
 *上記9首は『五行歌』という形式の作品です 


自由詩 「愛鷹山(ashitaka)」より [五行歌作品] Copyright ま のすけ 2010-05-23 04:04:21
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