たとえばキミが
森の猫
思い出す
女子高生の頃
道路に急に出てきた
サッカーボール
ボールを拾いに来た
利発そうな小学生
”ありがとうございます”
そうていねいに挨拶してくれた
なんだか とっても清々しかった
そして 胸がキュンとした
こんな小学生もいるんだ
キャリアを積んだOL
土曜の午後
あまり混んでない車内
白いスクールシャツの
眩しい高校生
”どうぞ”
ぼそっと呟き 席を立ち
お年寄りに差し出すしぐさ
ドキッとする
こんな高校生もいるんだ
三十路を過ぎた
パート主婦
大卒の初々しい男の子
背広が浮いている
年中 上司に叱られてばかり
でも へこたれない
アタマをかきかき
営業に走って行く
”お疲れさま”
帰ったキミに 麦茶を入れる
”ありがとう”
光った汗も うつくしい
ハッとする
こんな青年もいるんだ
たとえばキミが
たとえばキミが
たとえばキミと
たとえばあたしと
しょうもない妄想を
繰り返したくなる
日常