捕まった男
花形新次

いつも君を見ていた
君の笑顔を見ていた

君を愛していた
君の笑顔を愛していた

君を守る
君の笑顔を守る

そのためなら
命も惜しくはないと思った

君のためなら
死んでもいいと思った


僕の想いは
届くことはなかった

どうにもならないことは
はじめからわかっていた

だから、君の気持ちは
知りたくなかった


君の欠片があればよかった
君を近くに感じていたかった

物干しにかかっている
白いやつで充分だった

本当は
洗濯前のがよかった

君をポケットにそっとしまった

背後から呼び止める声がした
肩をガッとつかまれた
抵抗はしなかった

騒動を聞きつけ
君も外に出てきた

僕を見ていた
じっと見ていた

僕はこころのなかで
お別れを告げた

「さようなら
 真行寺さんちの奥さん(美人)
 白いパンティは
 返さなければいけませんか?」



自由詩 捕まった男 Copyright 花形新次 2010-05-22 10:10:42
notebook Home 戻る