汽車
小川 葉

 
 
にかいのへやで
あそんでいる
たたみのふちをせんろにして
おもちゃのきしゃを
はしらせている

たたみのかどを
もうひとつのきしゃが
うせつする
わたしもさせつして
そのきしゃを
おいかけた

すがたはみえないけれど
あにのようだった
どんなにおいかけても
おいつくことはできなかった
しばらくすると
たたみのふちに
いもうとがたっていた
いもうとも
おもちゃのきしゃを
もっている

にかいのへやに
ひかりがさしこむと
あにのきしゃはいってしまった
そのさきに
しゅうちゃくえきが
あるようだった

おさなすぎて
おぼえていない
いもうとと
わたしのきしゃは
いまもにかいのへやの
たたみのふちを
はしりつづけている
 
 


自由詩 汽車 Copyright 小川 葉 2010-05-21 01:48:13
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