クローバー
ルナ

太陽が西に傾き
橙色の弱光が窓ガラスを抜け
誰もいない教室をほのかに染める
グラウンドでサッカーボールを追う少年達
その声が
遥か遠くに聞こえる

教室の後ろの掲示板
はられた絵が眠る
その下のいくつものロッカーが口を閉じる
礼儀正しく整列した机を見つめて
黒板が優しく微笑む


君と交わした約束
君の背中
遠くに感じて
バイバイ手をふる姿が霞む
幼い頃に見つけられなかった
四つの葉のクローバー
今でもどこかで探してる

またね、の言葉を信じて
いつもどこかで
こんな教室のすみなんかでも
淡い期待で探してる
いつでも私は
あの夕暮れ河川敷でしゃがみこんでる
小さな女の子のままなんだと


ひとつ椅子を引くと音がやけに響いて
現実へと戻され
目の前の大きな黒板に微笑み返して
ひとり教室を後にする




自由詩 クローバー Copyright ルナ 2010-05-20 15:24:58
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