羽化
桐谷隼斗

道徳が煩わしいと思った
ビー玉を口に放り込んだ
冷たい、罪の味がした
ビーカーの中の塩酸が沈黙している

友達が1人、また1人私の墓場に埋められる
言葉に蹂躙された分
憎悪で応えた 目 お前ら石になれ
学校の坂道を 重い影を背負って歩いた
蟻が坂道を登っていく 仲間に入れて欲しい
貴方の奴隷になりたいです 女王様
楽しそうな笑い声 なんだか毒に溺れたい
生きること 彷徨うこと
二酸化マンガンが溶けていくみたいに
私も溶け出して
記憶もすべてなくなって
幼虫の頃からやり直したい
長針 回れよ 背けよ
反転する歴史

嘘で塗り固めた制服は 海の底
引き上げられたとき 私は蛹
羽化してみんなに泣いてもらいましょう


自由詩 羽化 Copyright 桐谷隼斗 2010-05-20 00:01:22
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