1ポイントの至福
まどろむ海月

 つまらぬやり取りにエネルギーが流れすぎたかも、という反省からこの際自分のセンスというものを再点検してみようかなと思い立った。
 現在、このサイトでの私の「おすすめ」作品が671ある中で、1ポイント、つまり私だけがポイントした詩が、42ある。
 これをすべて再読してみた。実に満足である。そのほとんどに再び深く深く感銘を受けた。いわゆるトップ10など、なんじゃらほいである。これらすべてが、私だけに向けられた作者の最高のプレゼントにさえ思えてくるのである。私だけが掘り出し、私だけがひそかにその包みをあける。1対1、作者のまなざしを強く感じる。
 なんという贅沢な至福のひととき。
 みんなが評判のユニクロの前で行列を作っているとき、専用のオートクチュールで自分の趣味にぴったりの貴重な一点物を格安で手に入れるとしたら、こんな感じかなあ。「みなさ〜ん、おげんきですかあ」と、サングラスをかけたまま洒落た車の中から声をかける、といった厭味な快感が、実によくわかってしまって恥ずかしいほどなのである。
 ポイント制も結構捨てたもんじゃないな、と思えてくる。現代フォーラム万歳、とさえ言いたくなってくる。これだけ大量の詩が流れ込んでくるこのサイトだからこそ、このような最良の掘り出しもののコレクションによって、自分のオリジナルな趣味の世界もひそかに構築できるのだ。
 そんな背比べに命がけみたいにあくせくせずとも、喧騒の世界から遠く離れて、人にああだこうだ言わせないマイナーなセンスの世界は、ときとして深い休息を与えてくれたりする。オルタナティヴ、ということのほどではないのだが、ポイントシステムにも、こういう愉しみ方もあるのだという一例を、皆さんに報告しておきたい。


散文(批評随筆小説等) 1ポイントの至福 Copyright まどろむ海月 2010-05-18 00:31:03
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