疾風夜
岡崎師
疾風夜
薔薇の鎖 風を閉じ込めた部屋
揺れる群青の窓辺で僕は、白い羽根を広げる
静かに散る、金色の唄 か細い息で、世界地図を描く
指先に砕けた、きみの肖像 土と血の味が、にじむ
歪んだ外の世界へ、この窓を開けて 淡い景色へ飛び込む、
急速に加速する 青の気配が肺を包む、
薄くくぐもった世界 風景の破片が僕の、
背中から流れ出た 血と混じりあい花弁の様に散っていく
羽根の先で、鈍い疾風をボクは感じた
奪われた 空気を光と纏い、あの月をめざした
ふるえた 溶け入りそうな月が浮かんだ
片眼に流し込んだ、骨の液体が
夜に響き
胎児の歌が
遠退く土と
忘れ逝く残響とが
鋼鉄の冷える夜に覚醒した。
月の刃音は突刺さる