ながいき
砧 和日

崖があり
陸はそこで終わり
振り子運動の仕掛けとして
ボールがひとつ手元にあり
結わかれた紐のもう一方は
斜め上空の
実在しない高さにまで
続いているのだという
手を放すとボールは
何もない方に向かって
坂を転がり続けるように
運ばれていって見えなくなった
ボールは永遠に
戻ってこないけれど
永遠が済んだらちゃんと
戻ってくるでしょう


自由詩 ながいき Copyright 砧 和日 2010-05-17 01:41:45
notebook Home 戻る  過去 未来