ブルー オア ブルー
中原 那由多
古びた電話ボックスの中にあるタウンページに
妙な親近感を抱くようになり
気付けば少しおせっかいな人になっている
大量にばらまかれたレジュメには
不気味な挿絵が載せられていたけれど
その絵が示すものはストレス社会に対する皮肉というものだったので
それが何となく嬉しかった
昼前の交差点に出くわした
ただでさえ交通量は少ないけれど
晴天の下、この日はやけにほのぼのとしていて
通りかかった幼稚園の窓から聞こえるお遊戯のピアノ伴奏が、♪が
ポン、と前頭葉で跳ねている
浅瀬ではしゃいでいた記憶は
出来ればなかったことにしてほしい
水溜まりに反射した点滅するランプは
時に焦らせて、時に宥めてくる
自分とそれ以外の境界線を踏んではみたが
そこからの一歩はどこにもなかった
いつまでも寂しがり屋な魔法使いの
得意なものは愛想笑いなんだとか
人混みは嫌いではないけれど
群がることを肯定できない
ただそれが苦手なだけで
笑うことを制限される
気がつけば、活字を読む機会が増えていて
開架閲覧室と地上波初登場を線で繋いでいた
同じ穴のムジナという言葉を辞書で調べてしまったので
これからは、偶然を装うことにしようと思う
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