センス・アンド・セレンディピティ
瀬崎 虎彦

漂うものは言葉を奪い妄想は力を与えつづける
いつか手にするものを今日手に入れる必要などない
考えることを仕事にして仕事のことを考えないようにする
働きすぎるまじめな人が多いこの国で難儀なことだ

朝が来るまでの4時間を空港のロビーで待ち続けていた僕は
地下鉄の中で拾ってきたフィガロのクロスワードを見て
フランス語が出来ないくせにひとつだけ答えがわかって
ちょっと嬉しくなり自分はどうも安い精神性の持ち主だ

次元を上げ下げして交友関係の相対性を体感する
人に会うことがもっとも大事な仕事であると気がついた
三十の前半に僕は打たれづよくなるべく失敗を重ねる

ウィスキーの飲みすぎで体はもうぼろぼろだった
元手なしに出来るかと思っていた言葉の戯れも
色々なことが枯渇しているので結構大変なことだと知る


自由詩 センス・アンド・セレンディピティ Copyright 瀬崎 虎彦 2010-05-15 00:31:03
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