アルコール中毒者は夜、歩く
冬野 凪

お酒というものは人間を廃人にしてしまう 恐ろしい薬です

お酒はその反面 飲む人をハッピーにします
かくいうぼくもお酒の虜です メロメロです デレデレです 
中毒です

お酒の中毒に陥ることをアルコール中毒 略して
アル中といいます
まさしくぼくはアル中です

そんなぼくの姿を見て
妻は休肝日をつくりなさい
と命じました
因みに我が家では妻が一番えらくて次に猫ちゃんたち 最後に
ぼくの順番です

わかりました

という訳で

日曜日 飲み
月曜日 休肝日
火曜日 飲み
水曜日 休肝日
木曜日 飲み
金曜日 休肝日
土曜日 飲み

と飲みと休肝日が順繰りになるように組まれました

飲み
飲み
飲み
飲み
休肝日
休肝日
休肝日
ではだめなのです
リズムが大事です

飲み
休肝日
飲み
飲み
休肝日
休肝日
飲み
もだめです
リズムがなってません
飲み休肝日飲み休肝日飲みのリズムが重要です

えらいことですが従わなければなりません
妻はえらいのです

しかしアル中のぼくに耐えられる筈がありません
酒屋でお酒を買ってはクローゼットに隠すようになり
休肝日を守っているフリをして
夜な夜なお酒を隠し飲むようになり
ハッピーな日々よ もう一度と思ったが
妻に隠し事をしているという後ろめたい気持ちがあるので
素直に酔えません

酔えないぼくはベランダに出て
まんまるいお月様に語りかけました
空いっぱいのお酒飲みたいな

すると
お月様のやつ ぼくを抱きかかえて
太平洋に突き落としやがった

とぼとぼ家路につく
酔っ払いの
ぼく
リズミカルに
飲み休肝日飲み
休肝日飲み休
肝日飲み休
肝日飲み
休暇日
飲み






自由詩 アルコール中毒者は夜、歩く Copyright 冬野 凪 2010-05-14 23:48:53
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