夜めぐる夜 Ⅲ
木立 悟






降る暮れの火と刺さる樹と
青と蒼と青と蒼
うなずくように
言葉なくす灯


花間のなかの蕭索
舌の上の山茶花
冠 冠
手に手をわたる


影 にじむ影
海の入口へ向かう脚
見えない月の
軋みと光


灰の階段
ほどける冠
草と実と雨
手のひらこぼれ


霧や未明
昇る樹をすぎ
着くことをすぎ
何もかもをすぎ


魂の葉 滴の警笛
時計を映した泡の蝶
とどかぬ花を
とどけゆく蝶


あやまちに晴れ
あやまちに曇る
鏡ひろう砂
忘れる砂


道があり 海に消える
手をつなぐ影の影を越え
光は水に門を描く
かなえられない夜を描く




























自由詩 夜めぐる夜 Ⅲ Copyright 木立 悟 2010-05-10 22:59:18
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