猫の恩返し かな?
森の猫

この春の終わり
愛猫 そらは

臭腺破裂という
見た目もかわいそうな
おしりを真っ赤に
血に染めた
外傷にみまわれた

抗生物質をブチュッ!と
打たれ
薬をひたすら 猫カリにまぜて
飲ませた

傷口をなめないように
四六時中 着装させられた
大きな エメラルドグリーンの
エリザベスカラーをつけたまま

絶えず あたしの後を追い
寝るときは
ピタッと あたしの
身体の横に ひっつく

ゴロゴロと喉をならし
もう 子猫のような
甘え三昧だった

傷は 完治した
やっと傷口にも
猫毛がはえてきた

一安心だ

と 思ったら
今度は あたし
出血が止まらない

明日に診察の結果をひかえ

あっ!

あることが 頭をよぎった

”猫の恩返し”

愛されている 猫は
飼い主の痛いところを
吸い取るように
ケガや病気をするという

なんとも符合する 症状

そら
あたしのために
痛いおもい してくれてたの

何もいわずに

かたわらにまるくなり
すやすやと
眠っている 愛猫

あたしは
そっと 大きな
その頭から 背中の曲線をなでた

そら
だいじょうぶ
だね

あたし


自由詩 猫の恩返し かな? Copyright 森の猫 2010-05-09 16:59:24
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