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おお 勇者よ
旅立ちの前にそなたには教えおかねばならぬ

おお 勇者よ
これから行く手を阻む様々な困難に出くわしたら
私の言葉を思い出すといい








まず 初めに 勇者よ
そもそも 魔王 魔王がいるのです
世界を征服しようとする魔王が
えっと そう 人間じゃなくて
いや悪魔だか怪物だかしらないけれど
妖怪? いやちがうちがう
そういうのじゃないの
で それを倒しに行くの
そう アナタが アナタですよー!

いや だーいじょうぶですって
だって勇者だから
大丈夫 伝説の武器とか防具とか
色々と装備できるから
いや 知らないよ
どこにあるかなんて
ここにはないよ だって伝説だもん
いやいやいやいや だから
だから うん 聞いて お願い聞いて
それをあなたが探すのよ
うん そう 
いや だから 
あ うーん
いや まあ確かに伝説だけどさ
あるって 絶対あるって 
だって聞いたもん 
ひいひいひいひいおじいさんくらいから
伝わってる伝説だから大丈夫だって
うん あるあるあるある
いや ガセとか言っちゃだめでしょ 
伝説! 伝説だから
あちこち回ってれば見つかるって
そうそう 山奥のさ 
なんか誰も行ったことない村とかさ
絶壁に囲まれた城とかさ 
大体 地図見てさ 怪しいところ
行けばあるって 大体持ってるって 
あいつら隠してるんだって
いいの持ってるから それ うん
かっぱらってきて 適当に使ってよ
いや だいじょーぶでしょー 
世界が大変なんだから
みんな どーぞどーぞ って
差し出してくれるって
だって 世界の危機よ? 
勇者ですって言えば 大体は 
おおっ! ではどうぞ! 
てなもんよ
大体はいけるよ
うん 船?
いや あげないよ? うんごめんね 
いや あの 
ははは
最初からは無理でしょー 
だーめだよお
いや 
ちょっと待ってちょっと待って
ダメダメ 帰っちゃダメだから!
話が違うって あっ 
いやまあ そうだけど
いやちょっと待って ちょっと待って
帰らないで 帰らないで
うん そうね まあそうなんだけどね
船はダメなの 船はダメなのよ 
なんでって言われてもさあ
しょうがないのよ 船はダメなのよ
そう 歩きなの ウォーキング 
最初は足から鍛えなきゃさあ
いきなりは無理でしょ だーかーらー
歩いて足腰鍛えるのよ
レベル1でしょ? 無理でしょ? 
重そうな剣とか振り回せないでショ?
ほら 振り回してみてよ ネ? 無理ジャン 
だって こんな すっごいひ弱そうな
あっ! 
いやまあ 王様 
もう ぶっちゃけ言っちゃうけど
正直 ちょっと無理かなー
と思ってましたヨ?
だってまだ子供でしょ? 何歳? えっ? うん
ほらー 全然子供じゃーん
だって 見てよ そこのほら 
屈強なおっさんたちばっかりでしょ
お城の兵士さんは ネ? 
あのおじさんたち 
束になっても叶わないんだよ? 魔王は
魔王 うん それくらい強いの うん
まあ そりゃさあ 王様だって
実際見たことないけどさ 
多分ね だって魔王だもん 
そりゃ強いでしょ 
だから もう ぶっちゃけ
かわいそうだなーって
でもほら 勇者だから それはね
しょうがないから うん
王様も 
どうしようもないなーって 
勇者だもん
だって しょうがないじゃん 
うん そうだよ
なんか 色んな人が言ってたよ?
勇者ダー! って
生まれた時に 
だから盛大にお祝いしたの
知らないって言われても 王様覚えてるもん 
色々お祝いの品も贈ったよ?
覚えてる? 覚えてない? 
いや 贈ったもん
贈った 贈ったって 
あのでっかい柱時計 家にあるでしょ あれ 
そう あれ王様から
邪魔とか言わない 王様贈ったから
あとは そう 庭におっきい木あったでしょ
そうそう あれ
あれも王様贈ったから 
邪魔とか言わない 
うん 陰になって家が暗いとかそういうこと
凹むから言わない 
あれ王様 じきじきに植えに行ったから
庭が狭くなったとか お母さんも言ってた?
でも王様贈ったから
うん 品物でも贈ったけど現金も 
そりゃねー 王様も現金とかちょっと
いやらしいかなーとか思いましたけど
でもほら 子供が生まれると
何かと入用じゃない?
現金が嬉しいかなと思って
そう? あ やっぱり 
それが一番嬉しかった?
まあそれならいいんだけどさ
だからあれだよ 色々話が散らかったけど
勇者なんだって
うん だからさ 勇者だって 
さっきから言ってるジャン
勇者なんだってば 
お城の占い師さんも言ってたよ
この子は勇者ジャーって! 
そう あのおばあさん 
いくつだか知らないよ!
王様が小さいときから
ずっーとおばあさんなんだから!
相当生きてるよ 
ある意味彼女が勇者だと思うんだけど
それはいいからさ
ね? さっき涙ぐんでたでしょ?
こんなに大きくなってって 
さっき手握ってたでしょ 頭なでてたでしょ
勇者が生まれたときに
抱いてもらってたんだよ?
写真あるでしょ? あのおばあさんよ
まあ 王様も生まれたとき
抱いてもらったらしいけどさ
写真見るたび思うけど
今と全く変わらないって
そんなことどうでもいいのよ 
ね? どうすんの? 
このまま帰っちゃうの? 
いいの? がっかりしちゃうよ? 
あのおばあさん 泣いちゃうよ?
うん いや 
関係ねえしとか言わないでしょ 勇者は
お年よりは大事でしょ?
いや 関係ねえとか言わないで うん
大事にしよ ね? お年よりは大事にしよ ほら
あのさっきから思ってたんだけど
敬語使お? うん 一応 王様の前だから
一応 国治めてるからさ みんなの手前ね
その辺ちょっと空気読んで
いや だって 伝説なんだから
しょうがないって
伝説の勇者なんだもん
魔王あらわれしとき 
勇者もまた姿をあらわさん
って 誰かが予言しちゃったんだもん
知らね とか言われてもさ
昔からそうだから ネ?
ホラ 勇者が行ったほうがいいと思う人ー?
ほら 勇者以外全員手上げてる 
ネ? ハイ決まり ハイ決まりー
ハーイ! これから勇者にはー
魔王を倒す旅にぃー 
ちょっ 帰らないで帰らないでって
帰らないでって言ってるでしょー
ちょっとー!
誰かちょっと そこ ほら! もう押さえて 
押さえつけといて! いいって!
王様 許可する ああ もう 許可するって
大丈夫 ああ もう ほら連れてきて
連れて来て連れて来て
あー もう 
最初からこうすればよかったんだってば
ほんとに フゥー
ちょっ
やり方汚ねえ とか言わないで 
王様なんだからさー 敬語使ってー 
さっきから何回も言ってるでしょー!
もー
ま それはさておき
これから 勇者にぃー
伝説の武器防具を探す旅にぃー
行ってもらいたいと思いマァースゥッ! 
イェーイ! ヒャーッフゥー!
イェェェェェイッ!
ちょっ きもいとか
ぼそっと言わない 聞こえたよ?
聞こえたって 絶対言った 絶対言ったよ
ねぇっ 言ったよね? 兵士長?
聞こえてない? ああそう
まあ いいのよ
うん まあ そうそう 最初はこんな感じでいいのよ
旅行気分 旅行気分
最初から 魔王倒すぞー! てね
そこまで気合入れすぎるのもね
後でだれちゃうこともあるしね
徐々に 徐々に 
まだレベル1だからね
あっごめん 気に障った? ごめんごめん
うん じゃ もう言わない もう言わない
でもほら 
こんなこと言うのもアレですけどー
まだレベル1だからぁー 
兵士さんたちにもー
押さえつけられて動けないでしょー
オーケーオーケー 
わかったから わかったわかった
もう 行かないとか言わないで 
そういうの言いっこなしね オーケー
王様も言わない言わない
今のは 王様のミスね 
フゥー こわいこわい
えっ?
あっ馬とか? いやまあ ほら
交通手段は自分で調達して
いや だからそれも そのうち手に入るから
王様だからなんとかしろ とか 
いわなーい 勇者はそゆこといわなーい 
えーっとどこまで話したっけな
そう 
伝説の武器と防具を集めてだね
そう 伝説の武器防具よ
えっ いや ま そりゃー うん うん 
うん うん そうね
何かしらの兵器を開発してね大勢の軍隊で
うん うん うん うん ああ なるほど
他国と同盟を組んで戦略的に攻めたほうがね
うん うん うん たしかに
丸腰同然の少年をひとりで行かせるよりは
ああ うん そ そうだね うん
遥かに常識的だよね
ちょっ ちょっとまって ちょっとまって
うん わかったから 
うん そうね うん
たしかに うん いえてる 
わかったよ
良いと思う 王様 それ すっごい名案だと思うよ
でもね わかって ああ もう 
なんだかなー
あっ そうそう ひとりじゃなくてもいいの
そう 仲間!
仲間を集めていけばいいのよ!
うんそうね 大体 4人くらいがベストかな
いや 少ないだろって 
突っ込まない 王様には突っ込まないで 
まあ確かにそうなんだけどさ 
少ないかもね でもさ こう考えて
世界最強のメンバーそろえればさ 
大勢で行くよりは
何かしら良かったりすることもあるんじゃない? 
ホラ 映画でもあるでしょ? 
見たことない? そういうの?
いや 王様も詳しくは知らないけどさ
えっ メンバー?
いや 王様でも 
そこまでのセッティングはちょっと
城の中にもいないしさ ねえ?
ちょっと このなかで魔王たおせるひとー?
誰かいるー? いたら手をー
誰もあげないじゃん 
って うつむかないでよ ちょっとー 
別にいいって みんなはいいからさ
いや ダメダメダメ 
ダメだって 
ナニヨ じゃ俺もいいじゃんって 
ダメでしょ 勇者なんだから 
エー メンバーって言われてもなあ
そんな強い人は無理よー 
心当たりないしさあ 
大体 王様知り合い自体少ないし
いや だからさ
じゃあ 無理じゃん とか言わないでって
えっ あっ ちょっと待って
なに大臣? えっ あっそう! そうなの?
あー なに えっあそこ? ああ! 
あそこそうなんだ!
へえー!
ああー 
あっ 勇者 大丈夫
うん 仲間 見つかります ええ
あなたの仲間 見つかりますよ!

なんかね あの ほら この城でてまっすぐ行って
突き当たり曲がって
そう あそこ 
あそこに酒場あるじゃん?
そうそう あそこ あそこがねなんか
それ系の人が集まるお店らしいんだって!
だからさ 
そこで誰かいい人を探せばいいんじゃない?
うん ああ そうね 
あそこ18歳未満禁止ね
一応 未成年にはお酒勧めちゃダメって
うん 王様 そういうのちゃんとしてるの
取り締まり厳しくやってるからさ 
えっ あっ 未成年?
勇者 未成年だって 大臣 ダメじゃん 
どーすんのよ えっ
だって ダメでしょー 勇者未成年だもん
えっ こっそり行けば大丈夫って?
いや だって もう聞いちゃったもん 
未成年て
みんなの前で聞いちゃったもん 
っていうかどうせ後からバレルじゃない
みんな勇者って知ってるもん
行ってもすぐに門前払いじゃん どーすんの 
えっ あっ 特例? 特例つくんの? 
いいの? 国民大丈夫? 
あっ お酒飲まなければオーケー?
今回だけ? うん 今回だけにして
そうね お店側には言っておいて
こういうのきちんとしたいから 
そうね 今回だけ特別で 
勇者だけお酒ナシで
でもほら そんなの店入っちゃったら
わかんないじゃん
ねえ勇者 お酒飲まない? 
えっ 飲まないよね 
えっ 飲まないよね
いや 
飲まないでしょ 
飲まないでしょ 
飲まないでしょ
飲まないて言っといて 
今 王様の前にいるの うん よし うん 
わかったね わかった
兵士さんたち 
もう 首思いっきり縦に振っといてね
飲まないね うん よし わかった
じゃあさ 今回だけ 
あの酒場に特例で入れることになったから
あの酒場行ったら 大丈夫 
うん 仲間見つかるから! 
もう今日から行けるようにしとくから
大丈夫 王様だから
それくらいはさせて 
王様にはそれくらいしかできないから
うん まかして オーケーオーケー
成立ね おし
じゃ大臣 お店の人に先に言っといて
あとそれっぽい人を呼んでおくように
えっ いや 行って誰も居なかったら
意味ないじゃん
それくらいわかってよ うん ハイ
すぐ 今すぐ行って ハイ 
ダッシュ 
ハイ ダッシュダッシュ

というわけで 長くなったけどいいかな

エー コホン 

じゃ 立ち上がって
うん 君たちももういいよ
離して あ やっぱ 捕まえといて
逃げるから
うん そう ガッチリ 
ガッチリ捕まえといて よし
じゃあいくよ?



勇者の行く手に 光あれ!







勇者のHPとMPが全快した











自由詩 RPG Copyright  2010-05-08 01:22:19
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