レインコートと長柄の傘
敬語
僕は、雨が嫌いだ。
というよりは、雨で濡れるのが嫌いだ。
だから、雨が嫌いというよりは濡れるのが嫌いなのかもしれない。
しかし、シャワーを浴びるのが嫌いじゃないことから、水に濡れるのが嫌という訳ではないことがわかる。
だから、やはり僕は雨が嫌いなんだ。
別に、雨が降らないと環境や生物に悪影響を与えるという常識的なことがわからないほど無知ではない。馬鹿でもない。
だけど、僕は雨が嫌いなんだ。仕方がない。
だから僕は、雨降りの日に外へ出掛けるときは必ずレインコートを着用する。水色のやつを。
そしてさらに、必ず長柄の傘をさす。青色のやつを。
しかし、それは雨降りの日に限ったことではない。
晴れだろうが、曇りだろうが、同じ格好で出歩く。
だって、天気なんて信用ならないから。
よく山の天気は変わりやすいから信用ならないというが、僕からすれば山に限らずどこでもいつでも天気は信用ならない。
だから、雨がいつどこで降るかわからないのだから、僕はレインコートを着用し、長柄の傘を持ち、外に出る。これは当たり前の対策だ。
しかし近所の人々は「〇〇くんは雨が好きなんだね。待ち遠しくて、そんな格好をしてるんでしょ」なんて言う。
けれど、僕が雨を好きなんてことは有り得ない。
むしろ、嫌いだから着ているのだ。持ち歩いているのだ。
そこんとこをよく理解してもらいたいものだ。
それに、僕は機会があるなら一度は雲の上で雨を降らせているらしい神様をぶん殴ってやりたいとも思っている。
しかし、残念なことにその機会はなかなか訪れないらしい。
そこんとこをよく理解してもらいたいものだ。
だから僕は、雨が嫌いだ。
そして今日も、レインコートを着用し、長柄の傘を持って、出掛けていく。