イノリたい
ハイドパーク

今日は特別
背中が重くて
息がしづらい
吐きそうだ
はやく
神棚に向かって
イノリたい

会社の中なので
商売繁盛の戎様しか
いらっしゃらないが
それでもイノリたい
神様はどなたでも
どこかで繋がってるはず
同じはず

上司
同僚
OL達の
目を盗み
自然なステップで
神棚の前に滑り込み
両手の人差し指で
小さく拍手を打った
チョン チョン

お許しください
お守りください
お助けください
ミスをしませんように
静かに平穏に過ごせますように

目を閉じて
イノリを捧げた
少し楽になって
自分の机に戻ると
年下のOLが
お茶を入れてくれた
彼女突然
僕の耳元で
「イノッテたでしょ。わかってますよ。」
それから
「いい塩がありますよ。」って言った
うれしかった
塩は良い
サーと霊が抜ける気がする
彼女僕の背中に
お塩塗りこんでくれるかな

ふっと部屋を見渡すと
部長はじめ上司
同僚
OL達みんな
指先で塩の入ったパケを
チャッチャッて鳴らしてた
なぁんだみんなも
きっちり
イノッテたんだね
ぼく知らなかったよ


自由詩 イノリたい Copyright ハイドパーク 2010-05-06 19:09:48
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