籠の中の小鳥たちが寄り添って
ささやいている姿を眺めながら
アルコールを呷り言葉と戯れる
自己意識を突放し抹殺し
消失にのみエクスタシーを求める者は
虚無が広がる世界に
制約の中のリビドーを見詰める
・
死人が何も話せないのをいいことに
生きる為にあなたの魂を売った
まるで少女が貧困から逃れる為に春を売るように
(どうしたんだ
震えが止まらない
誰なんだ
誰が呼んでいるんだ
父さんの亡霊か
私が殺した私の亡霊か)
(お願いだ
首を縦に振ってくれ
違う違う違う
あれは父さんじゃない)
(何でもない
何でもないんだ)
・
愛について確たる約束もできないくせに
売春は駄目だときつく他人に叱り付ける
自分の愚劣さをけして私は許せない
往来で叫びたくなる衝動を抑える
開かずの間に固く鍵を閉めて
私のやさしい言葉たち
私のいとおしい者たち
今夜は暗くて
よく見えないんだよ
許しておくれ
許しておくれ