Yoko と Youko
森の猫

故郷のある街には
とても 不似合いな
未来都市

さいたま新都心

そこに
ジョン・レノン・ミュージアムはある

もう開館10年
じきに閉館となると聞き
あわてて 訪れる

ビートルズ世代でもおかしくないのに
あたしはカーペンターズ派

なのに
ヨーコ・オノには
とても シンパシーを感じる

ミュージアムに入ると
そこは
ジョンであふれていた

ここかしこに流れる
ジョンのメロディと言葉たち

あたしは
ヨーコの愛情に圧倒された

そう
ここにあるのは

ヨーコのジョンに対する
愛情の全てだ

おそらく
ビートルズなど知るはずもない
メガネをかけた
生意気げな 小学生が
熱心に母親に ジョンのことを
説明していた

こうして
受け継がれていくんだ

パスポート表記を
Youkoとした
ヘボン式では間違いだ

でも 読み仮名は
ヨウコ
だから
"U”を 入れたかった

ホームスティ先では
ヨゥコォー(Yoko)
と呼ばれた

異国人には”O”が
好まれる

ある部屋に
Yokoからの電話
と 表記された

アメリカナイズの電話機が
ぽつんと 置いてあった

不定期に
ヨーコ・オノから
来館者に電話がかかるらしい

気になって
つながるはずもない
受話器を手にとって

”Hello, this is Youko speaking.
 ・・・・

I love you.and..."

意味もなく
英語を発音してみる

I love you.
I love you...

こう 言いたくなる
空気が
そこには あふれていた


自由詩 Yoko と Youko Copyright 森の猫 2010-05-03 12:13:29
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