真夜中のわるがき
永島大輔

真夜中のわるがきが目を覚ます
それにあわせてしゃべりだす
ぼくたちは すぐに時間切れ
目をこすりながら
電車のベルにせかされてる

きみの言葉は光の川で
いくら聞いても聞きたりない
ぼくはきみに伝えたいことを いくらも伝えられなかった

真夜中のわるがきは
首ねっこをつかまれて 貨物列車
ぼくはきみに伝えるつもりだったことを
おもちゃ箱に封じ込めた


おもちゃ箱が埃まみれになったころ
貨物列車からぬけだした
真夜中のわるがきが
得意そうに 宛名のない手紙を ぼくに届けにきた

見覚えのある文字は
貨物列車がでるまえに 話していたきみの文字だ
おもちゃ箱に封じ込めた
きみの文字だ

かけらになったままで光っている きみの文字は

今もどこかで宛名のない手紙を書いている

すぐには届かないかもしれないけれど
真夜中のわるがきが届けてくれるって

週末に間に合うように
こいつに手紙を預けてみるつもり

きみに届けばいいな


自由詩 真夜中のわるがき Copyright 永島大輔 2010-05-02 19:24:53
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